本研究では、卸売企業の仕入先構造・販売先構造に関する独自集計資料によって、商品流通における東北地方・九州地方の都市階層および中央企業の支配の程度を定量的に明らかにした。 東北地方では仙台、九州地方では福岡が地方ブロック中心都市として東京・大阪の中央企業との結合が強く(全卸売企業の50%)、これは中央企業仙台・福岡支所の活動によるものであった。これらの中央企業出先機関は、元卸ー中間卸ー最終卸という流通経路上の中間卸の機能を果たし、地方ブロックを対象とする広域的活動を担っていた。 さらに、中央企業の流通支配の程度によって、地方ブロック中心ー県庁所在地級ー県内副次中心という地方都市の階層関係が形成されていることが実証された。各県域の中心となる県庁所在地級都市群では、中間卸の比率は非常に低く、また中央企業の支配の程度も、東北地方:30〜35%、九州地方:20〜25%であった。さらに下位階層の県内副次中心都市群においては、東北地方:25〜30%、九州地方:15〜20%であった。この都市群では、前述の中央企業仙台・福岡支所に多くを依存しており(15〜20%)、間接的に中央企業の傘友にあった。 また、今年度予察的に行なった、長崎県小売商仕入先分析によると、地方の末端地域では、卸売企業よりも小売商の仕入行動によって、中央企業と密接に結びついていることが判明した。特に、衣服・身の回り品の分野では、47%の小売商が中央企業と結びつき、県庁所在地都市長崎では、その比率が55%にも及んでいる。
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