研究概要 |
北アナトリア断層帯はアナトリア(トルコ)プレ-トとユ-ラシア・プレ-トとを境する横ずれ型のプレ-ト境界である。同断層帯の西端部付近には第四紀後期の短縮変形を示す多数の活褶曲が発達するが,これは北アナトリア断層の西端がエ-ゲ海の背弧拡大域に連続するという従来の通説とも,また同断層帯西端部付近で発生する微小地震メカニズムとも矛盾する。研究代表者等は,断層帯の分岐と地表と地下での断層のgeometryの違いによって上記の矛盾を説明するモデルを提出したが,このモデルからは上記の様な現象をもたらす原動力とより広域的なテクトニクスとの関係は未だ明らかになっていない。本研究では,この問題を明らかにするために,高解像度で実体視可能な衛星写真を用いて北アナトリア断層西端部とその周辺地域の活構造分布をマッピングすることを試みる。本年度は,Izmit湾からSapanca湖周辺のSPOT panchromatic映像1シ-ンを取得し解析を行なった。変位地形の判読は10万分の1に引き伸ばした印画は実体視することによって行なった。本年度のテストフィ-ルドの一部は既に現地調査を実施しているので,SPOT映像の判読によってどの程度のスケ-ルの変位地形まで検出可能かを検討した。その結果,以下の点が明らかになった: 1.完新世の地形面上の変位地形は,SPOT映像からは検出できない。 2.更新世の地形面上の変位地形は検出可能である。 3.広域的な活構造・組織地形のマッピングには,大縮尺空中写真よりSPOT映像の方が有効な場合がある。
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