平成3年度に実施した研究は下記の3側面からなる。 1.東アジアの黄土と風成塵 この研究については、主に文献研究により、中国大陸に分布する黄土の堆積年代、諸特性、土壌侵食の問題、および中国の研究者によって公表された分析値などについて再検討をおこなっている。つぎに日本国内では鹿児島県のシラス台地と青森県の屏風山砂丘地を重点的に、そして比較考察的に出雲、上越、秋田各砂丘地の調査を行い、得られた資料、試料について現在分析中である。いっぽう、湖水ボ-リングコアの分析も準備中である。これらの研究の一端は、第四紀研究誌上に発表している。 2.サハラダスト すでに採取してあるイスラエルレスについてESR年代測定や必要な分析を行った。この結果、イスラエルではサハラダストが過去20万年間にわたって年1mm程度の堆積速度で堆積し、途中、ミランコヴィッチの日射量変動曲線のピ-ク時に、レスの堆積が中断し、かわって古土壌が生成されたことが明らかにされた。この結果は兵庫教大研究紀要誌上に発表した。 3.ウィスコンシンダスト すでに採取してあるウイスコンシン土壌について分析をおこない、ウィスコンシン土壌が、ミシシッピ-レスおよびダストの影響を強く受けていることを明らかにした。この結果はとりまとめ中である。以上のように、日本で新たにおこなった現地調査を中心に、すでに土壌試料を採取してあるイスラエル、アメリカ、それに中国のレス、黄土、風成塵について現在、鋭意分析を続行しているところである。
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