研究概要 |
1)本研究は、日本・韓国・中国など東アジア一帯の台地や古砂丘をおおう土壌・主母材が、従来いわれてきたように基盤岩あるいは火山灰の風化物質であるとの考え方に対して、遠くアジア大陸、あるいは近隣地域から飛来する風成塵物質からなるという仮説の下に1980年から現地調査と室内分析を併用して検証に努めてきたものである。その成果は1981年から1991年までの間に17編の論文および報告書にまとめている。とくに平成2・3年度にはこれまでの研究成果をまとめ、東アジア全体を網羅する報告(Catena、第四紀研究)を行った。 2)東アジアの風成塵には、中国大陸起源の広域風塵と近隣地域から飛来する風成塵とがあり、ともにその量は多く、土壌・古土壌の主母材として非常に重要である。その堆積量は、日本では最終氷期14ー23mm/1000年、完新世4ー7mm/1000年と見積もられる。 3)近隣地域から飛来する風成塵の粘土鉱物は、その地域の岩質を反映するが、広域風成塵は微細石英を主とし、カオリナイト、21鉱物、2:1:1鉱物からなり、K_2O/SiO_2,SiO_2/Al_2O_3モル比が高い性質を持つ。 4)風成塵起源の微細石英(1ー10μm)の酸素同位体比は14ー17%であり土壌中に含まれる微細石英同位体比の測定結果は東アジアの土壌・古土壌が風成塵の影響を強く受けいてることを示している。 5)風成塵堆積の影響を強く受けた土壌・古土壌は、中国大陸・韓国をはじめ日本海側に広く分布する古砂丘・台地上に見られるほか、南西諸島の石灰岩台地や日本周辺の海底堆積物にも認められる。 6)サハラ砂漠から飛来するイスラエルの風成塵の堆積は過去20万年間の気候変化と関係があり、風成塵はおもに湿潤期に堆積し、その堆積量は0.5ー1mm/1000年である。
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