研究概要 |
(1)タイマ-付き電気炉(ト-マス社,TMFー5T型)を購入し,泥炭層の灼熱減量を一定条件のもとで測定した。その結果,深さ5cmごとに実施した椀がけ法による無機物の抽出および洗泥法による泥炭層の分解度の測定などと比較することにより,混入した外来無機物に関する解像度が著しく向上した。 (2)北アルプスの餓鬼ノ田圃において,ヒラ-型ボ-ラ-によるボ-リングを実施した。その結果,泥炭層基底の形態がほぼ判明し,地滑り起源の凹地に堆積した泥炭層が沼沢化に伴い拡大してきたことが明かとなった。また,泥炭層の基底および分解度が著しく変化する層準などについて ^<14>C年代測定を依頼し,さらに,最も厚い部分(約640cm)の泥炭層について研究協力者に花粉分析を依頼した。 (3)大台が原の稜線上(山頂平坦面)に分布する泥炭地において試料を採取し,餓鬼ノ田圃とほぼ同様の物理的分析を実施している。なお,大台が原では泥炭地の発達が極めて不良で,最も厚いところでも40cm程である。北アルプスの山頂平坦面でははるかに泥炭層の発達が良いところが多いことから,両者の違いには冬季の積雪量・消雪期などが深く関連することが示唆された。基底部の ^<14>C年代測定を依頼した。 (4)奈良県東部曾爾高原の泥炭地(お亀の池)においても,試料を採取した。緑辺に近い部分で,中心側には存在しない明瞭な無機物層を確認した。分布状況および細かい粒子から粗いものまで含まれる層相から,この無機物層が流入土砂であることが判明した。この上・下の層準について ^<14>C年代測定を依頼した。上記の2地点の分析が終了し次第,これらと同様な分析を行う予定である。
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