研究概要 |
1990年度には,春(4〜6月),秋(9〜11月)の2回にわけて,北海道内の各営林署,林務署,中学校,高等学校,自然保護団体その他に,生物季節観測カ-ド500枚を配布して,生物季節観測を実施した。 春季には,エザヤマザクラをはじめとする15種類の植物の開花日・満開日,シダレヤナギなど5種類の植物の発芽日,モンシロチョウなど6種類の動物の初見日,ヒバリなど3種類の初鳴日の総計44種目の生物季節について観測した。1990年春の気温は,全国的にかなり高目であったが,北海道でも高く,4月の平均気温は平年差+0.6〜+2.8℃であった。そのため各地で,生物季節の最早の記録が更新された。その傾向は,道南地域で顕著であり,函館では,梅・セイヨウタンポポの開花日,ソメイヨシノザクラの開花日・満開日,イチョウの発芽日,モンシロチョウの初見日等の最早記録が集新された。 一方,秋季には,イチョウなど29種の植物の紅(黄)葉日・落葉日エゾノコンギクなど9種類の開花日,モズなど3種類の初鳴日およびツバメの終見日の総計71種目の生物季節について観測した。春季同様,秋季の気温もかなり高目で,10月の平均気温は平年差+1.0〜+2.7%であった。そのため,春季の生物季節とは逆に,秋季の生物季節の推移は大幅に遅れ,札幌のイチョウなど多くの最晩記録が更新された。以上のように,1990年には,春季・秋季ともに,高温年における特徴的な生物季節を観測することができた。これらの観測結果を基に,種目別の生物季節分布図を作成した。 また,これらの観測資料を含む1985年以降の過去6年間の生物季節観測資料を複合的に解析し,北海道における支庁別の季節暦を,目下作成中である。季節暦の完成は来年度になるが、来年度には,この暦をさらに発展させ,支庁別の季節区分図も作成する予定である。
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