研究概要 |
1.初級日本語教科書に見られる縮約形を全部取り出して,デ-タベ-ス化した。それの類型化と数量的分析は現在進行中であるが,これまでに明らかになっているのは次のようなことである。 (1)文型中心の教科書にはほとんど縮約形が見られない。 (2)文型中心の教科書に見られる縮約形は,「〜テイル」の縮約形「〜テル」と「ノ」の縮約形「ン」である。「テル」と「ン」の日本人の使用頻度の高さから考えると,たとえ文型中心であっても日本語の教科書でもこの2つの形は無視することができないということだろう。 (3)コミュニケ-ション重視の教科書では縮約形を積極的に取り上げている。多い教科書では13種類の縮約形を取り上げ,それぞれに説明と練習を付けている。教科書によって差があるのは,「みそはアメリカのピ-ナツバタ-って感じですね」「彼,会社をやめるんだって」「財布はどこに置いたっけ」のような縮約形である。このうち他の形で言い替えができない「会社やめるんだって」のような文末の「ッテ」は,教科書にもっと積極的に取り上げることを考えるべきであろう。 (4)「〜ナクテハ」の縮約形は,「〜ナクチャ」,「〜ナケリャ」,「〜ナキャ」など,教科書によって取り上げる形に違いがあったり,一度に3つの形を出したりしているが,日本人の使用実態から提出順序を考えるべきであろう。 2.日本語学習者の日本語方言音声の聞き取り能力を調査するために,全国16地点で収録された方言の「桃太郎」の書き取りを行い,デ-タベ-ス化した。
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