研究概要 |
現在、CAIコ-スウェアの作成において多様な画像を組み込むことが可能である。外国語教育の分野においても今後画像併用のCAIコ-スの一層の利用が予想される。この状況を踏まえ、本年度の研究に先立って、昭和63年度、平成元年度に英語の読解学習における画像の効果に関する研究を行なった。昭和63年度の研究の結果、まず文字のみによる学習より、画像を用いた方が学習効果が高いこと、そして画像の種類として線画より写真を用いた方が学習効果が高いことが明らかになった。次に平成元年度の研究では画像を白黒写真に限定し、画像の提示位置(英文を読む前・読む後)、画像の構成(部分画・全体画)という2種類の要因と、2種類の異なる理解テストとの関係を明らかにすることを試みた。ここでいう2種類の理解テストとは、事実の理解を問う低次のテストと推論力を必要とする高次のテストである。さらに学習者特性(認知型)との関係も検討した。その結果、全体画を英文の後で提示すると記憶の保持に効果が高いことと、低次の項目に関する理解テストにおいて場独立型の学習者ほど学習効果が高いことが明らかになった。平成2年度では、英語の読解学習における以上の知見を基に、手の動きという要因を新たに加え、中学3年生を対象に実験を2度実施した。実験I(被験者数は65名)では画像を用いず手の動きという要因のみを取り上げたが、実験II(被験者数は129名)では手の動きという要因に画像(白黒写真)要因を組み合わせた。その結果、どちらの実験においても、手の動きを伴う方が学習効果が高いことが明らかになった。しかし、この2度の実験に関する限り、手の動きの有無と画像の有無との間に特定の関係はみられなかった。この結果は1990年日本教育工学会第6回大会において口頭発表した。なお、色彩要因については,新潟県の公立中学校において実験を行なう予定であり、現在実験の準備中である。
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