外国語(英語)学習を対象としたCAIによる学習内容として、これまで読解学習を取り上げ、画像の効果に関する実験を行なってきた。その結果、まず少なくとも文字のみによる学習より、画像を用いた方が学習効果が高いこと、そして画像の種類として線画より写真を用いた方が学習効果が高いことが明らかになった。次に低次の項目(事実の理解を問う項目)において、英文を読む後で画像を提示した方が学習効果が高い、という傾向がみられた。また、全体画のときには、英文の後に画像を提示するのが効果的であることがわかった。さらに学習者特性として、認知要因のうち認知型(場独立型・場依存型)との関係もあわせて検討したが、英文を読んだ後 で全体画を提示すると、記憶の保持に効果が高いことと、低次の項目に解答する際、場独立型の学習者ほど、学習の効果が高いことがわかった。以上の結果を基に、CAIによる学習が手の動きを伴うことから、平成2年度の一般研究(C)では、この手の動きという要因を加え、手の動きが英語の読解学習の効果を高めるのかどうかを調べた。2種類の実験(被験者は実験Iが65名、実験IIが129名)を行なったが、この研究から少なくとも手の動きを伴う学習の方が手の動きを伴わない学習より、効果的であることがわかったが、手の動きと画像の関係については特定の関係はみられなかった。続いて、平成3年度の一般研究(C)(前年度より継続)では、コンピュ-タ上で画像を扱う際、カラ-を容易に扱えることから、中学生135名を被験者に、新たに画像の色彩要因を加え、色彩が英語の読解学習の効果を高めうるかどうかを検討した。その結果、色彩要因(白黒・カラ-)は学習効果に影響がないことが明らかになった。さらに、学習者特性の認知要因としてIQを取り上げ、画像の効果との関係にたいても検討したが、IQが高いほど画像の効果が高いことがわかった。
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