1.研究目的 従来の教育において、「学習成果を表現させること」や「学習者が過去の学習者の学習成果を受け継いで理解し、発展させる」という観点がきわめて弱い。本研究では、学習者が学習成果のデ-タベ-ス化に参画することで、学習の継承性を改善・発展させることをねらうものである。 2.研究実施計画と成果 (1)学習の継承性において障害となっていることがらの調査・分析 筆者の担当する教育工学・情報教育に関する授業において、学習成果としての課題制作の成果やレポ-トを、次の受講生に資料として紹介・配布している。こうした資料(作品)の有効性についてアンケ-ト調査した結果、これらの資料(作品)が強い興味・関心のもとで見られていること、評価をすることが継承性につながること、学習の初期においては、専門用語が理解の障害になっていることなどが明らかになった。専門用語の解説をデ-タベ-スに加える重要性が示唆された。 (2)学習成果デ-タベ-スの開発と学習者による登録 本研究に関わって、いくつかの学習成果デ-タベ-スが開発進行中である。筆者の授業の受講生の課題制作の成果をデ-タベ-ス化した「情報表現作品デ-タベ-ス」、協力校(中学校)における「芭蕉デ-タベ-ス」、「材料デ-タベ-ス」などである(購入したビデオスキャナは画像取り込みに役立っている)。この成果の一部は、学会・研究紀要等で報告した(研究発表参照)が、1991年度は、利用システムを含めて研究する予定である。
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