研究概要 |
植村は、ちえ遅れの子どもの算数・数学(学研),コンピュ-タ利用の障害児教育(学研)等の文献研究,長崎大学教育学部付属養学校研究紀要第七集や「ダウン症児の心理と指導(学苑社)」に関する資料や情報の収集を行なった。また障害児教育のためのコンピュ-タの周辺機器の利用についても研究した。 また、2人のダウン症児を週に1回、2年間、文献研究と並行して、実践指導を行って来ている。 その結果、精神遅退児(ダウン症児)の算数的概念の認識の特性については、まだ充分に明確になっていない点が多いことを再認識した(時間の概念など)。 また、コンピュ-タ利用今回は特に音声装置やタッチスクリ-ンなど周辺機器の利用が障害児教育には有効であることが明確になった。それらを使った入力装置や算数指導のためのソフトも開発し,ダウン症児2人に使用させた結果,それらの児童は積極的に学習に取り組む姿勢が顕著になってきた。 一方、清原は障害児の算数教育の歴史的資料の収集とその解読を手掛けた。特に大正9,10年代の東京・林町尋常小学校の「算数科指導要目」に注目した。第2次世界大戦後の障害児の算数教育が生活中心的な指導法をとっていたのに対し,極めて緻密に体系化されている。また戦後については、東京都立八王子養護学校の昭和45年代の算数教育の資料と内容に注目した。この学校の実践も生活的方法を排して、概念形成を中心とした算数教育の追求であり、今後の算数教育の土台となる実践を示していることも明確になった。 なお、本研究の成果については、植村は11月の学会で、清原は本学部の研究紀要に発表した。
|