研究概要 |
植村は、ちえ遅れの子どもの算数・数学つまずき編(学研)、コンピュ-タ利用の障害児教育(学研)研究と並行して,2人のダウン症児に、週に1回、研究室等で指導や調査を行ないながら,精神発達遅退児の数学的概念の形成過税の特性に関する資料や情報の収集を行なった。また障害児教育のためにコンピュ-タを用いた指導を試みた。 その結果、ダウン症児の算数的概念の認識では,時間の概念,お金の両替の考え方の理解に,大きな困難があることが明確になった。今年度は,両替の考え方が位取りの概念と密接に関係することに着目し,買物などの実習を頻繁に行ない.両替の考え方を理解させることに努めた。この指導の中で,数の概念の抽象化の過程と両替の考え方とは逆の思考が働いてあり.このことが位取りの理解を困難にしている1つの理由であることがわかった。成果の一部は,11月の学会や3月発刊予定の当学部の紀要等にも報告した。 コンピュ-タの利用については,特に大坪が,障害児のパソコン利用での,キ-ボ-ドや視覚指示に頼らない「音声入出力」の可能性に着目し,実際に障害児にパソコンの音声入出力を利用させるための タ-フェ-スの基礎的機能の検討を行い,その経過を「マツキントッシュにおける音声入力の方法」として,九州心理学会(第52回)で報告した。 清原は、前年度における障害児の算数教育関係の歴史的文献を踏まえ、今年度はその授業のあり方,記録の取り方,実践評価のあり方を考察し,その一部分を「教育実践の記録と評価」として発表した。 その中で特に強調したことは,授業内容の精選,体系化はもちろん,子どもの感性を通した授業と教師もともに成長するという視点を持つことにした。
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