小学4年生から中学3年生の男子児童・生徒を対象にサイベックスIIを用いて、5種類(0、60、120、180、240o/s)の速度条件で肘関節伸展ならびに屈曲動作において発揮されたトルクを測定するとともに、180o/sの速度条件で肘関節の屈曲、伸展を2秒に1回の割合で、最大努力で50回連続して行わせ無機的筋持久力を測定した。伸展力、屈曲力はいずれの速度条件においても加令的に増大し、13〜14才にかけての増大が顕著であった。また、動作の繰り返しによる最大ピ-クトルクの低下は、14才以降の年令で顕著になる傾向がみられ、14才以降では速筋線維が遅筋線維よりも相対的により発達するものと考えられた。週3 回、8週間の等速性最大筋出力のトレ-ニング効果は、屈曲筋・伸展筋群ともに13才で最も大きく、12才よりも14、15才で高い傾向がみられた。いずれの年令においても効果は速度条件が高まるほど屈筋群の方が伸筋群よりも大きく出現する傾向がみられた。一方、無機的筋持久力のトレ-ニング効果においでも13才で最も大きかったが14、15才よりも12才の方が高い傾向がみられた。これらのことから、最大筋出力よりも持久力のトレ-ニングの方を早期に始めるのがよいように考えられた。最大筋出力のトレ-ニングによる増大は筋肥大と中枢の興奮水準の高まりが、筋持久能力の向上は中枢神経系の興奮水準の高まりとその持続能力の改善が大きく関与していると筋放電量の変化から推定された。
|