研究概要 |
平成2年度の研究は,それまでに開発されていた試行作業盤のハ-ド面のより一層の改良とソフト面としての試行作業盤の有効性の検証を主目的として実施した。そのために,中学校における実験授業を計7回実施し,その都度成果の分析と生徒の反応を観察して問題点を抽出し,それをもとに試行作業盤の改良を図った。平成2年度中に達成できた主な改良点をあげると,軸受けの改良とそれを滑らせるU字型のガイドレ-ル(薄鉄板製)の製作である。この組み合わせによって,精度・強度ともに向上し,同時に,入力の伝達性能も一層向上した。また,機構構成要素としてのリンクの種類と数を増やした。とくにこれまで厚紙でリンクを作らせていたのを,プラスチック製にして一層仕組み易くした。スライダリンクを加えたことで,スライダを複数箇同時に組み込むことを可能とし,生徒の作る仕組みが変わってきた。また,機械要素止め,ストッパ-,スペ-サ-などを真鍮やプラスチックの丸棒で新たに製作したことで,ネジによる締結を使った組み込みを可能とし,一層機構を仕組み易くした。ここでは,生徒の作った仕組みについて述べるスペ-スがないので割愛する。 試行作業盤の適用条件を調べる実験授業については,主としてその有効性の検証を行った。とくに導入段階の指導について,望ましい教師のコントロ-ルの程度と仕方を追求した。分かってきたことは,この教具を使った授業に抵抗なく生徒が入っていくためには生徒自身にある程度の仕組みについての基本的な知識と創意工夫の能力が要求されること,そのための直前の学習として,二次元的な仕組みを取り扱う「思考プリント学習」の復習が有効であること。また,プ-リ-と歯車を初めから与えると,学習が発展的に展開しないこと,などである。
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