研究概要 |
平成3年度中には,計7回の実践的研究授業を実施した。主として平面的な思考プリント学習を三次元的な試行作業盤学習の基礎学習として位置づけ,両学習の統合を図ることによって,短時間で効果的な動く模型製作学習の学習過程の確立をめざすための基礎資料を得る目的で研究を実施した。『思考プリント学習を試行作業盤学習の基礎学習として実施することにより,試行作業盤学習において生徒の仕組む機構がより高度化し,機構の数も増加し,また,授業への参加度も向上するだろう』を研究仮説とした。この研究仮説の検証のため,思考プリント学習を3時間実施した実験群Aと,1時間実施した実験群Bと,思考プリント学習をまったく行わない実験群Cを設けて実践的研究授業を実施した。研究対象は中学校3年生男子生徒とし,A.B.C.群ともにそれぞれ36名である。研究授業におけるグル-プ構成は,思考プリント学習は個人学習とし,試行作業盤学習は1グル-プ2名で構成した。評価対象授業としては,各群とも初めての試行作業盤学習の2時間の授業をあてた。そして,授業の内容を均一とし,教師のコントロ-ルはできるだけさけて,生徒の自主性にまかせた授業過程とした。授業の記録は8ミリビデオで録画したり,写真機によるものなどによった。思考プリント学習の成果の評価,試行作業盤学習の成果の評価をそれぞれ評価の観点や評価基準を設けて実施し,思考プリント学習の学習量の差が試行作業盤学習の成果に及ぼす影響を調べた。その結果思考プリント学習の実施時間の増加により,明らかに仕組まれる機構の難度が増した。また,能力の高いと思われる生徒の学習効果をより一層高めることが認められた。また,到達目標をどこに設定とたら良いのかのめやすが得られた。より高い目標値を設定するなら,思考プリント学習の実施時間の増加が要求される。平均値からも,機構を仕組む能力の向上が確認できた。
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