研究概要 |
この研究は,思考プリント学習を,試行作業盤学習の基礎学習として位置づけ,もともと別個に行われていたこれら2つの学習の統合を図ることによって短時間で効果的な動く模型の製作学習の指導法の確立をめざして行われた。その目的を達成するために思考プリント学習においては,指導法の工夫で時間短縮の一応の見通しを得た。また,男女共習の授業を実践し女子生徒のこの学習への適応も確かめることができた。また,生徒が作ったしくみについて,基本的なしくみがどのようにしくみの中へ組み込まれているかに着目して5つの類型にわけて分類整理した。そして,しくみの構成上の誤りについて4つの視点から分析し,その原因を分析し,誤り解消への対策にふれた。二次元の場で機構の構成要素を操作し,それらの組合せを工夫することによって欲しい動きを得る。そして,その動きに対応したしくみのイメージを育てるという過程を試行錯誤を繰り返すことで創造的思考が育ってくる。 試行作業盤学習は,生徒が主体的に立体的な機構を学習する方法であり,思考プリント学習の発展学習である。試行作業盤は機構を生徒が仕組み易い,理解のし易いこと等を考慮して開発され,改良されてきた教具である。ここでの生徒の作品は,機構の種類や独創性に富んでおり,分析した結果,その作り方や発展の仕方に6つの類型が認められた。そして,指導上注意すべき点が明らかとなった。この2つの学習を,新しい機械学習の試みとして,統合した新しい方法を確立していくことが急務である。そのための資料として,基礎学習として思考プリント学習を実施したグループと,しなかったグループの作られた作品の評価を比較した結果,実施したグループのほうが,評価が有意に高く,試行作業盤学習における思考プリント学習の効果を確認することができた。
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