大量消費、使い捨て傾向が強かった社会も、石油危機を契機に物を大切に使い、有効に活用する方向に変化しており、家庭生活においても省資源・省エネルギ-活動を積極的に推進する必要がある。本研究では、生徒の日常生活における身近な省資源・省エネルギ-活動として、「空缶、空びん回収への協力」、「節電(使っていない部屋の明りをこまめに消す)」、「節水(歯を磨くとき、蛇口を開いたままにしない)」、「ノ-トの再使用(半分くらい未使用のノ-トを捨てずに使う)」を取りあげ、中学生を対象にこれらの実行の程度を調査した。その結果、節電がもっともよく実行されており、空缶、空びん回収への協力と節水については、約半数の者が実行しており、ノ-トの再使用に対しては、いつもしているからしていない者まで多様であることがわかった。 こららの実態を資料として用い、生徒の日常生活における省資源・省エネルギ-活動の推進を図る教材を開発した。この教材では、省資源・省エネルギ-を身近な問題として捉えさせるために、生徒個々人の日常生活の上記諸活動の実際との関連で学習できるコンピュ-タを使用して提示できるものとした。作成した教材のなかで、節水の例では、3分間歯を磨く間に蛇口を開いたままにしておくと、的36Lの水が無駄になり、この対象者がこの無駄を続けると、1年間あるいは一生(寿命を80歳と想定)の間に無駄にする水の量がどれくらいになるかが視覚的にわかるように、霞が関ビルや東京ド-ムの何杯分に相当するかを計算して提示した。また、この節水を県下(徳島)の全中学生、日本のすべての人が行わないとき、それぞれどのくらいの水が無駄になるかを計算して提示できるようにもした。さらに、この水の量を、地球が保有し、人間が利用できる水の量と比較して示し、日常生活を起点として、水を大切に使用しなければならないことが容易に理解できる家庭科教材を開発した。
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