研究目的: 漢字仮名混じり文は漢字という表意文字と仮名という表音文字がその構成成分として、混在して用いられている。このようなテキストの読みにおける、文や単語の認知処理機構を眼球運動特性を指標として検討した。漢字仮名混じり文におけるテキスト処理は、漢字と仮名で異なる、というdualーstrategy仮説を検討するため、読みの過程における飛越(サッケ-ド)運動の距離や停留時間を記録した。 実施計画: この仮説を検討するため、コンピュ-タとリアルンタイムで連動させる移動窓(moving window)をソフトウエア的に作成した。具体的には、被験者がCRT上に提示されたテキストを読むとその眼球運動に連動して決った範囲の有効視野が切出されて表示される。被験者が視線を移動させると、この移動窓も同時に移動する。移動窓の大きさを制限することにより、画面のテキスト(漢字、仮名、英語など)を処理する効率が変化した。 現在までの結果: (1)漢字の処理は仮名と異なり、凝視時間は短く語彙アクセスは速いようである。(2)反対に仮名はサッケ-ド運動の距離が小さく凝視時間な長くなる傾向がみられた。(3)漢字仮名混じりの本の有効視野の広さは約5ー6文字程度であることが推定された。仮説の一部は支持されたと考えられる。
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