平成2年度に続いて平成3年度に実施した本件にかゝわる研究実績の概要を箇条書きにすると、以下の通りとなる。 フィ-ルドの大阪市生野区には、現在、集落神社が7社、霊威社が3社、存在しているが、このうち集落神社7社への在日韓国・朝鮮人(以下、在日という)の関与の実態を概略すると、次の通りである。 (1)同区の在日の殆どは町内会を通して集落神社の氏子組織に組み込まれ神社の経済的維持に大きく寄与しているにもかゝわらず、神社の責任役員や氏子総代となって神社の意志決定や運営に参画する機会を殆ど与えられていない。 (2)在日は、神社の祭礼の管理運営に携わる保存会や若中会のメンバ-にはなれないが、祭礼時の地車曳行や獅子舞いには、その子弟が数多く参加し、それが、大人になっても懐かしいふるさとの思い出となっている。 (3)地鎮祭や上棟式などの際に神社に「お祓い」を依頼したり、初宮参りや七五三・結婚式などを神社でしたり、初詣や祭礼時に神社参拝したりする在日が、かなりの程度、いる。 また、天理教・金光教・創価学会・崇教真光などの新宗教への在日の関与の実態を概略すると、次の通りである。 (1)日本人と同様、在日の多くも現世利益を求めて新宗教に接近するが、その後、新宗教の教えの普遍的な要素に目覚めて熱心な信者になる。 (2)比較的歴史の浅い新宗教のほうが、在日の信者が多い。 (3)指導者が在日で、信者のなかにも多くの在日がいるような教会などに在日の信者が集中しやすい。 以上の研究実績に加え、本年度は、『在日韓国・朝鮮人の日本宗教への関与に関する社会学的研究』と題した報告書(B5版20頁)を刊行した。
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