子どもの音楽行動を一種の問題解決的思考過程としてとらえる立場から、音楽の授業研究を行った。その目的は、音楽学習において問題解決的思考がいかなる条件下で、いかなる形態で起こり、いかに展開していくかということを明らかにし、音楽授業における問題解決学習の諸要因および諸要因間の関連構造を解明することであった。 実験授業では、音楽構成活動の基本的な手法である「反復」をテ-マに、有音程楽器を使ってグル-プでひとつの作品を作るという課題を課した。対象は平成2年度は大阪教育大学附属平野小学校4年生、平成3年度は同じく附属平野中学校2年生とした。 その結果、創作構成活動の基本的な手法である「反復」をテ-マに、有音程楽器を使ってグル-プでひとつの作品を作るという課題を課した。対象は平成2年度は大阪教育大学附属平野小学校4年生、平成3年度は同じく附属平野中学校2年生とした。 その結果、創作活動での子どもの問題解決過程にはつぎの要因が関与していることがわかった。素材(五音音階、または楽器)に働き掛ける中で、目指すべき作品の「イメ-ジ」が形成される。「イメ-ジ」とかかわってこうしたいという「欲求」が生まれる。「欲求」実現のため「探究的操作」が為される。そこでの「行き詰まり」の状態に「見通し」をもつために、自分の行った探究的操作の内容を自覚的に認識する場が必要となる。それに機能するのが問題解決学習としての音楽授業である。その成立には、単なる作品間の表面的な比較にとどまらない、作品の基盤にある感じ方・考え方・行動の仕方の次元で、全員がかかわれる共通問題を焦点化する必要がある。
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