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1990 年度 実績報告書

日本における漂泊的河川漁民の民俗学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 02801040
研究機関岐阜大学

研究代表者

伊東 久之  岐阜大学, 教育学部, 助教授 (10126724)

キーワード漂泊民 / 内水面漁業 / 民俗史 / 漁民
研究概要

日本において、過去に漂泊的な河川漁民が存在していた事は、戦前の民俗誌といった文献で確認できる。しかし、現在において、そうした調査が可能であるかどうかは、戦後こうした調査がまったくされなくなったために、不明というほかなかった。たしかに、実際に河川を漂泊して漁業を営む人、そのものは戦後姿を消している。だから、直接本人に接して行なうような調査はできない。ただ、そのような人を見たり、接したりした人は、まだ生存しているという事が、今回の調査で確かめられた。
本調査者は、主に近畿地方を中心に、河川沿いの集落をまわってみた。そこでは、「ポン」「ヒニン」「カワラコジキ」といった呼称で呼ばれていた漂泊的漁民の事を古老たちから、かすかにではあるが、聞く事ができた。そこで得られた情報は、あくまで、村人として来訪者を見ていたものであり、当然ながら資料上の制約をもっている。少くとも、漂泊的河川漁民の実像を復原するには、誤解や偏見といったものが含まれており、また情報不足でもあるので、困難をきわめる。むしろ、逆に、彼ら定着民の目から見た漂泊漁民の姿はどうであったのか、どのように理解されていたか、といった事に関するデ-タ-は充分に提供される。
例えば、彼らが漂泊的河川漁民をどう呼んだかについては、非人とか乞食といった身分的な表現が含まれていたり、スッポンのように余り口にしない動物の名がつけられていたり、この職業に対する評価がよくあらわれている。また活動の時期、どこから来て、どこへ行くのかについての知識も、全く異人的な理解で語られる。
結局、この問題は定着民と非定着民、あるいは農民と漁民といった異業種間の文化接触にまつわる多くのデ-タ-を提供してくれるものといえよう。そして、今がその資料収集の最期の時期である事も確かである。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 伊東 久之: "漂泊的河川漁民の民俗史的研究" 吉川弘文館, 350 (1992)

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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