1990年度における、本研究においては、津軽藩における宝暦改革の基礎的な研究に重点をおいて研究に取り組んだ。なかでも改革にかんする史資料の調査と関係史料の収集を図り、それらの複写ならびに写真撮影を実施した。調査へ赴いた先は、秋田県本荘市、東京大学史料編纂所、北海道上ノ国町、函館市立博物館・図書館、鹿児島大学図書館など、幕藩体制後期の藩政改革関係史料を収集した。津軽藩という地理的な関係から、北方地域の各藩の藩政改革のみならず、蝦夷地と改革との関わりにも新たな視点を持つことができた。くわえて北方地域のみでなく、南方地域の代表的な大名である、鹿児島藩の藩政後期改革にも視野を拡大することをこころみた。 宝暦改革の基礎的な史資料の収集のほかに、18世紀中葉、なかでも宝暦・明和・安永の各時期における全国的な研究動向を押さえることをも実施した。具体的には、研究論文などのカ-ド化を図り、それらのリスト作成を今後予定している。 来年度の計画としては、本年度収集した史資料の整理と分析をおこない、収集漏れの史料を改めて採訪し、研究史のリスト作成を実施しようと考えている。くわえて研究協力者とともに、研究報告の執筆を行い、それに基礎的な史資料を翻刻し、研究史のリストも掲載しようと考えている。
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