1991年度における、本研究においては、津軽藩における宝暦改革の具体的な展開に重点をおいて、研究を進め、取りまとめの作業を着手した。改革に関する資史料の調査と関係史料の収集は、前年度同様におこない、それらの複写並びに写真撮影を実施した。調査に赴いた先は、国立史料館・内閣文庫・函館市立図書館・九州柳川歴史史料館・福岡市博物館など、幕藩体制後期の藩政改革関係史料を収集した。北九州地域の諸藩は、中国・朝鮮などの東アジア諸国との交易、外交関係を早くから保持しており、北方国家との接点である北奥諸藩の動向を考察する上で、これら西南地域諸藩の後期藩政改革の史料は多くの示唆を与えるものであった。 本年度は宝暦改革の中でも重要な施策と考えられる、都市政策と農村政策の実態をさぐる史料を重点的に押さえることにした。都市政策関係史料としては、宝暦6年に作成された弘前の武家屋敷図をすべて複写し、屋敷の再把握を通じての、改革の都市的な性格を追及した。農村政策関係史料としては、五所川原を中心とした新田開発地帯の関係記事を、基礎史料である藩日記から抽出する作業を実施し、また林業関係史料も藩日記から抽出した。 昨年度と本年度の調査収集作業の結果を、現在取りまとめ中であるが、何分にも大量の史料群のため、成果の報告に時間を要する見通しである。
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