1990・1991年の両年度における、本研究においては、後期幕藩体制下における藩政改革の研究史を押さえることから開始した。そのなかで、津軽藩における宝暦改革の基礎的な史実の確定をおこなった上で、それを踏まえて改革の具体的な展開に重点をおいて研究を進め、それらの成果をもとに取りまとめの作業に着手した。改革に関する資史料の調査と関係史料の収集は、国立・公立の史料所蔵機関ならびに個人の所蔵にかかるものも含めて、史料の複写並びに写真撮影を実施した。 フィールドワークは、北海道南部と九州北部を中心におこない、異国・異域の地域の独自性と共通性を確認することができた。 これらの作業を通じて、本研究がめざした後期幕藩体制下の藩政改革について、新たな知見をえることができ、明治維新への展望もある程度開くことが可能になったと考える。具体的には成果報告書を見てもらうしかないが、1750年代における幕藩体制の矛盾が従来のものとは質が異なり、これを如何に克服するかが、維新以後の当該地域の近代化の方向を決定づけ、あわせて北奥地域も含めた国家の辺要の地域と異国・異域の民族との接触がこの後の藩政の在り方に大きな影響を及ぼしたものと考えられるのである。
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