本研究は、政治的に無関心ではない積極的な「政党支持なし」層を実証的に把握することを目的とした萌芽的研究であり、平成2年度より2年間の計画で開始され、平成3年度は研究の最終年度であった。本研究の当初の計画では、平成3年度は前年度に実施した横浜市緑区での意識調査の回答者の中から15名程度に深層面接を行なう予定であったが、平成3年度の計画を見直した際に、平成3年度も前年度の意識調査の回答者に繰り返し調査を行なうパネル調査を実施することに計画変更した。パネルの第2次調査として、平成3年度11月25日に質問票を発送、12月末までに364の質問票を回収した(有効回収率69.6%)。ただし、平成3年度に実施を予定していた深層面接は、回答者の十分な協力が得られず、また時間的な制約のために実施することが出来なかった。しかしながら、パネル調査によって、平成2年度の第1次調査では明らかに出来なかった。「政党支持なし」層の持性が一段と明らかになり、萌芽的研究としては十分な成果があがったと考えられる。 研究成果の最も重要な点は、第2次調査で「どの政党も特に支持したくない」という気持ちがあるかを訊ねた質問に、なんらかの政党を支持すると答えた回答者は31.2パ-セントに過ぎす、第1次調査の従来の形式で政党支持を訊ねた質問に対する63.7パ-セントという支持政党を持つ者の割合よりもずっと少なくなっている。すなわち、「政党支持なし」層を測定する場合に、政党支持を持つ者の残余のカテゴリ-として「政党支持なし」を定義するのと、最初から積極的に「政党支持なし」を聞いていくのとでは、実証的な測定の結果が異なることが明らかになったのである。 また、平成3年度には前年度の第1次調査のデ-タ分析を行い、研究発表したが、研究成果報告書にその概略をまとめた。
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