日本の家計資産は、高山他(1990)の先駆的な研究が貴重なデ-タを提供している。一方、高山(1989)は、米国に於ける家計資産についてSIPP(Survexy of Income and Program Participation)調査を使い、各種の階層分類を行い各階層がどのような資産を保有するかについて詳しく述べた。 SIPP調査(個票デ-タ)は、同一の人について所得等に関する調査が時間をおいて複数回行われているが、家計資産については毎回詳しい回答が無いことがわかり、今回は、第4回ウェ-ブを利用して、調査に含まれる属性から個人像を抽出し、典型的な米国の家計における資産の保有と形成について考察した。 今回の分析は、家計資産は家族共有意識があり、日本と比較可能にするため、世帯ベ-スで集計を行い、1万6831世帯(推計世帯数に換算して7985万世帯)が今回の考察対象世帯である。この中でも典型的な階層として、白人、世帯主が男、「都会」に住んでいる家族について、ライフサイクルにあわせて家族形態を追いながら所得と家計資産の変化を分析した。 家計資産については、米国でも調査が少ないために完全照合によるデ-タの突合せが難しく、統計的照合に頼らざるを得ない。これからの課題として、照合のキ-の検討がある。
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