研究概要 |
非対称なエネルギ-をもった電子と陽電子の対消滅により発生するBXゾン対の状態のうちB→ψK,B→ππ,B→Kπ,B→KK,B→DD,B→D^*Dなどの崩壊におけるCP非保存の検出の可能性を検討するために、上記の崩壊過程もふくめて、数10の崩壊過程のイベントシミュレ-タ-を製作し、高エネルギ-物理学研究所にある大型計算機を利用して,その評価を行った。シミュ-レ-ションプログラムはトリスタン実験によく利用されている。ルント型のものを基礎にして作られた。ここで興味のある崩壊過程は分岐比が10^<ー5>程度と非常に小さいことが予想されるので、信頼できるシミュレ-ションをするためには、10^8例くらいのデ-タを基にする必要がある。このように膨大な量のデ-タを短時間に発生させ処理するためのプログラムを製作した。このプログラムを基にして次の事実を確認した。1)B→ψKs崩壊反応は観測可能でバックグラウンドは非常に少い。2)B→4Ks反応においてCP非保存効果を検出するためには次の条件が満されなければならない。(イ)Bの崩壊点を80μmよりよい精度で検出できること、(ロ)検出立体角は17°<θ<135°よりも大きいこと、(ハ)電子と陽電子のエネルギ-非対称度が3.5^<Gev>×8^<Gev>よりも大きいこと(=)積方ルミノシティ-が10^<40cm>/年以上であること(ホ)ψ→l^+l^ー,Ks→π^+π^ーの検出効果が90%以上であることなどである。尚他の反応についてもひきつずき平成3年度、4年度に検討を積ねる予定である。
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