研究分担者 |
伊藤 領介 高エネルギー物理学研究所, 物理部, 助手 (90193531)
尾崎 均 高エネルギー物理学研究所, 物理部, 助手 (10177214)
宇野 彰二 高エネルギー物理学研究所, 物理部, 助手 (70183019)
佐川 宏行 高エネルギー物理学研究所, 物理部, 助手 (80178590)
山内 正則 高エネルギー物理学研究所, 物理部, 助教授 (20174584)
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研究概要 |
高エネルギ-物理学研究所に建設が計画されているBファクトリ-におけるB中間子反応の研究を、コンピュ-タシミュレ-ションを用いて行った。最初にγ(4S)→BB^^ーとγ(5S)→BB^^ー事象を発生されるモンテカルロプログラムを作成した。これは既存のルントプログラムを改造する事により実行された。次にこれらの事象が測定器に与える影響をシミュレ-トするプログラムを作成した。これらの事象は10^6〜10^7という多数発生する必要がある為に、充分迅速に処理するプログラムでなければならない。このシミュレ-ションの結果、Bファクトリ-実験の主目的であるCP非保存の測定を行うのに最適な電子・陽電子ビ-ムのエネルギ-を夫々8GeVと3.5GeVに決定した。同様にして各測定器に要求される性能,アクセプタンスと角度,運動量及びエネルギ-の測定精度等を評価し,その結果に基ずいて、測定器の設計が行われた。その次に検討された事は、「如何にしたらCP非保存の測定能力を高める事ができるか?」という問題である。その結果従来標準的に考えられていたB→ψKs,ππ,Kπ反応以外に多くの有望な反応が存在する事が判明した.例えば、B→ψK_LはK_Lの相互作用を探す事により測定可能であり,ψKsの半分程度の寄与が期待される事が世界で初めて示された。同じくψを識別するのにトプトン対崩壊の他にハドロン崩壊も使える事が明らかにされた。ユニタリ-三角形の第3の角度φ_3は従来Bs→pKs反応を用いて測定する事しか考えられていなかったが、Bd→DKsとB^I→DK^Iを組合わせる事によりγ(5S)ではなくγ(4S)の所でφ_3が測定可能である事が初めて示された。その他多くの反応を加え合わせる事により必要な反ルミノシティ-の値を半分以下に減らす事ができる事が判った。連続領域からのバックグランドイベントの影響等まだ検討すべき課題は残っているが,当初計画していた事はほぼ実行できたと考えられる。
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