研究概要 |
1.鉄酸化物や酸化ニッケルにNOを吸着させたのち,静磁場(1〜7.6KG)を印加するとαー,γーFe_2O_3,Fe_3O_4,NiOでは吸着が,αー,βー,γー,δーFeOOHでは脱着が起こった。NOは常磁性(不対電子をもつ)であるから,NOの脱着は興味深い。固体磁性はNOの磁気吸・脱着には重要ではなく,固体の表面欠陥や官能基および細孔ー言いかえれば,NOの吸着状態が重要であることが明らかとなった(論文1)。 2.1をふまえ,固体の表面官能基や細孔の役割を調べるために活性炭類へのNO磁気吸着性を調べた。無孔性カ-ボンブラックでは磁気応答せず,細孔をもつカ-ボンブラックでは磁気応答した。また,細孔径の異なる活性炭(素繊維)への磁気吸着は細孔が小さいほど顕著であり,1.1〜0.7nmで最も著しかった。また,炭素上の酸性基量とともに磁気吸着量が増えることがわかった。これら両因子の寄与を分離して調べることは難しいが,炭素系での磁気吸着現象をMagnetoーmicropore filling(MMF)と命名した(論文2)。 3.MMFにおける細孔効果のみを抽出するため,ゼオライト類とピッチ系炭素繊維を用いてMMFを調べた。(これらの調料は官能基が少ない。)その結果,MMFは0.5と1.0nmで顕著に起こり,これはNOのマイクロポア中での二量体化によることがわかった。 4.水の固体への磁気吸着についても調べた。現在のところ,磁場強度に依存して,吸着←→脱着の変化があること,吸着1層目の水は磁場に応答しないことなどがわかりつつある。
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