研究課題/領域番号 |
02804033
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
林 久治 理化学研究所, 理論有機化学研究室, 主任研究員 (50087508)
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研究分担者 |
若狭 雅信 理化学研究所, 理論有機化学研究室, 研究員 (40202410)
坂口 喜生 理化学研究所, 理論有機化学研究室, 研究員 (30167423)
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キーワード | ラジカル / ラジカル対 / 磁場効果 / 有機金属化合物 / ミセル / ゲルミルラジカル / レ-ザ-ホトリシス / スピンー軌道相互作用 |
研究概要 |
第三周期以上の重原子をラジカル中心とする系では、スピンー軌道相互作用が増大してスピン相関効果を減少させるため、原子番号の増大にもない化学反応に対する磁場効果の変化量が激滅すると考えられている。このような状況を踏まえて、本研究では、重原子を含む反応系で磁場効果を検出することを目的として、溶液中の有機金属化合物の光化学反応に対する磁場効果に関する実験的研究を行った。アリ-ル置換ゲルマニウム化合物(R_4Ge)のある種のものは、比較的よくミセルに溶けること、およびミセル中のこれらの化合物の光分解反応に磁場効果があることを見出した。特に、メチルトリフェニルゲルマン(Ph_3MeGe)をブリ-ジ35ミセルに溶かし光照射すると、三重項状態より解離し、ゲルミルラジカルとフェニルラジカルによる三重項ラジカル対を形成することを見いだした。さらに、1.35Tの磁場によりこのラジカル対の寿命は68%に減少し、散逸ラジカルの収量は1.27倍になることを見いだした。なお、本年度に申請した、ガスクロマトグラフ装置、低圧水銀灯、および融点測定は、ゲルマニウムを含む有機金属化合物の合成、精製、およびこれらの化合物の光化学反応生成物の同定や収量測定に有効に活用されている。 重原子を含む反応系で磁場効果を感度よく検出するためには、レ-ザ-ホトリシス装置を改良し、測定の感度と精度を向上させると同時に反応温度も低下させる必要がある。また、大きな磁場効果を与える反応系を設計・合成する方向の努力も重要で、長鎖のアルキル基を持つ有機金属化合物を合成してミセルに可溶化しミセル内でラジカル対を発生させたり、アルキル鎖で連結した分子を合成し2ケのラジカルを分子内に持つビラジカルを発生させることも必要である。これらの研究を今後、実施する予定である。
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