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1991 年度 実績報告書

ライオトロピック液晶による金属錯イオンの分子認識

研究課題

研究課題/領域番号 02804048
研究機関奈良女子大学

研究代表者

飯田 雅康  奈良女子大学, 理学部, 助教授 (00107343)

キーワードコレステリック液晶 / コバルト(III)錯体 / 多核NMR / レ-ザ光散乱 / 相転移 / DSC
研究概要

二年目にあたって、本研究課題を遂行するため具体的にはふたつのテ-マに取り組んだ。ひとつはドデカノイルLーアラニン界面活性剤の形成するコレステリック液晶へのコバルト(III)錯体存在の効果を59ーCoNMRにより調べた。この系に対してCo(NH_3)_6^<3+>,Co(CN)_6^<3ー>,Co(en)_3^<3+>,Co(acac)_3,Co(phen)_3^<3+>などの錯体の添加が液晶相の安定性に及ぼす影響を錯体の59ーCo NMR、水の2HーNMR、界面活性剤の1HーNMRスペクトルの核四極子あるいは双極子相互作用による分裂から調べた。また液晶相の安定性を測る指標として、液晶のコレステリックのピッチをレ-ザ-光散乱から測定し、ピッチの大きさ(ミセルの大きさと比例する)に及ぼす影響を調べた。液晶を構成する界面活性剤の1HーNMRスペクトルの双極子分裂とコレステリックのピッチの大きさとの良い対応がつけられた。更にこの界面活性剤を含む混合液晶系についてコバルト(III)錯イオンの選択的結合を調べている。
もうひとつ、上記の課題と密接に関連しており、本科研費で購入したDSC(示表走査熱量計)を用いて行った研究は、金属イオンまたは金属錯体と液晶系との相互作用の液晶の相挙動に及ぼす影響についてである。即ち、具体的にはリン酸ジブチルアルカリ金属塩の水溶液の形成する液晶の等方相への転移熱を測定し、アルカリ金属対イオンの効果を調べた。その結果、ナトリウム塩の熱量変化が最も大きくてカリウム塩とセシウム塩とがほぼ同様であった。また、濃度が高くなると次第に熱量変化が大きくなり、転移熱も上昇したが、ナトリウム塩の場合だけは15mol/kgの高濃度になると再び転移熱は小さくなり、転移温度も下がって液晶相が不安定になるという異なった傾向を示した。水の2ーH NMRスペクトルの測定から液晶の秩序性と水和の程度が予測され、ナトリウム塩の場合の小さな核四極子分裂がリン酸基よりはナトリムイオンへの強い水和に帰せられると結論された。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Masayasu IIDA: "Electrostatic and Hydrophobic Interactions in the Ion Associations between Tripositive Complex Ions and Sulfonate Anions" Bull.Chem.Soc.Jpn.63. 993-998 (1990)

  • [文献書誌] Masayasu IIDA: "Broadening of the proton Magnetic Resonance Spectra of Sulfonate Ions by Ion Pairing with Paramagnetic Chromium(III)Complexes" Bull.Chem.Soc.Jpn.64. 128-132 (1991)

  • [文献書誌] 飯田 雅康: "ライオトロピック液晶におけるイオンと水の挙動ーNMRによる研究ー" 表面. 29. 524-533 (1991)

  • [文献書誌] Masayasu IIDA: "A 59ーCobalt NMR Investigation of Co(CN)_6^<3ー> and Co(NH_3)^<3+>_6 Interactions in Nematic Liquid Crystalline Surfactant Solutions" J.Phys.Chem.95. 7891-7896 (1991)

  • [文献書誌] Masayasu IIDA: "NMR Relaxation Studies for Sodium and Potassium Ions and Water Molecules in Concentrated Aqueous Solutions of Dibutyl Phosphate" Bull.Chem.Soc.Jpn.65. 707-714 (1992)

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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