三重キュバン型オキサイドクラスター(1)はメタノール中で安定であるが、少量のP-ヒドロキノン(HQ)が存在するとハイドロキノンの付加物1・2HQに変化し、さらにトリスホモキュバン型の2へと変化する。2の分子構造は単結晶X線回析によって明らかにした。この2はCH_2Cl_2に溶解したのち、メタノールを発生しつつ並列型の四重キュバン型クラスター3に変化する。スキーム1これは2の二分子がカップリングした生成物であり、1にくらべて立方体が一単位増加した構造を取っている。2はまたM_6O_3固体表面上でのCH_3OHの触媒的部分酸化反応のモデルとして用いることができ、架稿したCH_3O基の重要な役割を明らかにした。平成3年度の研究では、積層立方体型クラスターの立方体単位増減をある程度自由に行なえる特異な反応を見いだすことができた。そして酸化物固体表面の反応を理解するうえに上記3種類の酸化物クラスターが役立つことも同時に明らかにした。
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