研究概要 |
光合成遺伝子の発現制御系を解析するためには,突然変異体を用いた方法論が有効であると考えられる.分子遺伝学的解析に必要ないくつかの条件を満たしているモデル植物シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)を実験に供した. 1.選抜のための遺伝子の植物体への導入 リブロ-スー1,5ー二リン酸カルボキシラ-ゼ/オキシゲナ-ゼ(RuBisCO)のSサブユニット遺伝子(rbcS)およびクロロフィルa/b結合タンパク質遺伝子(cab)のうち,シロイヌナズナrbcSー3Bおよびcab1のプロモ-タ-とそれらの上流を含むそれぞれ約1,500ヌクレオチドからなる領域,またアルコ-ル脱水素酵素遺伝子(adh)コ-ド領域を校正活性を有するDNAポリメラ-ゼを用いたDNAポリメラ-ゼ増幅法(PCR)により作製した.rbcSー3Bプロモ-タ-領域の下流にadh遺伝子を繋ぎ,シロイヌナズナ(Bensheim,adh^-)への導入を試みた. 2.突然変異体の作製と選抜 シロイヌナズナ種子を突然変異原ethylmethansulfonate(EMS)により処理し,得られるM_1個体の自家受粉によるM_2個体のうち,光合成突然変異体が長波長紫外光の照射により赤色螢光を発することを確認した.また,adh遺伝子発現が低下している植物体は,allyl alcoholを毒性アルデヒドacroleinに変換できないためallyl alcohol耐性であった.既に作製を試みたβーglucuronidase(GUS)およびchloramphenicol acetyltransferase(CAT)遺伝子形質転換値物体を含め,光合成突然変異体の選抜を開始した.
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