研究概要 |
1.抗ゾウリムシ栄養核核膜モノクロ-ナル抗体の作成:ゾウリムシの単離栄養核でマウスを感作し、抗ゾウリムシ栄養核核膜モノクロ-ナル抗体産生ハイブリド-マの作成を試みた。その結果、栄養核核膜特異的抗体産生ハイブリド-マ(MAー2)が取れた。間接蛍光抗体法では、抗原は栄養核核膜に存在し、生殖核核膜には存在しない。抗原は、ゾウリムシ(Paramecium caudatum)の調べたすべてのsyngenの栄養核に存在した。しかし、SDSーPAGEのイムノブロットでは抗原を同定できなかった。抗原が、電気泳動の試料作成時に抗原性を失う性質を持つことが推測された。アフィニテイクロマトでの抗原の精製はまだ成功していない。 2.抗腹側繊毛特異的モノクロ-ナル抗体の作成:上記のハイブリド-マを得る過程で、マウスに注射した抗原の中に混在していたと考えられるゾウリムシの腹側繊毛に対して特異的なモノクロ-ナル抗体産生ハイブリド-マ(VSCー1)が得られ、次のことが分かった。(1)間接蛍光抗体法では、細胞前半の口部装置側繊毛に抗原が局在している。(2)culture age,clonal ageの時期に関係なく、接合型やsyngenに関係なく、抗原は存在する。(3)抗原決定基は繊毛膜の内側に存在し、生細胞に抗体を加えても可視的変化は認められない。(4)抗原は、SDSーPAGEのイムノブトットでは20kDの蛋白質で、NativeーPAGEではkD以上で、精製した抗体を用いたアフィニテイクロマトで精製すると複数の蛋白質とサブユニットを形成していることがわかった。以上のことから、抗原の生理的機能として、接合型物質のサブユニット、カルシウムイオンチャネル関連蛋白質、接合時の腹側繊毛退化関連蛋白質の可能性が考えられた。 今後、1の抗体について、予定の実験を継続する。
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