研究課題/領域番号 |
02804066
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研究機関 | (財)東京都神経科学総合研究所 |
研究代表者 |
永田 功 (財)東京都神経科学総合研究所, 遺伝子研究部門, 主事研究員 (30124415)
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研究分担者 |
中辻 憲夫 国立遺伝子学研究所, 遺伝実験生物保存研究センター, 教授
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キーワード | 中枢神経系ニュ-ロン / 細胞移動 / オリエンテ-ション / 神経突起 / 直交性 / 人工細胞外マトリックス / 培養 |
研究概要 |
本年度は、石英ガラスの表面に微細な溝を並列するように加工した人工細胞外マトリックスを線維束の物理的なモデルとして考え、その上で解離したニュ-ロンを培養した。具体的には、溝の幅や深さのサイズの異なった人工細胞外マトリックス(NTT基礎研究所の川名明夫博士による作製)をポリ-リジン、或はラミニンで被覆し、その上にさまざまな種類の解離したニュ-ロンを培養し、それらの神経突起の出る方向を計測した。その結果、中枢神経系ニュ-ロンのほとんどは線維束の上よりもその頻度は低いが明瞭な直交性を示し、末梢神経のニュ-ロンは直交性を示さなかった。いずれのニュ-ロンも凹凸の幅と間隔が1ミクロン、深さ0.5ミクロンのマトリックスの上でもっとも高い直交性を示した。このサイズは線維束の一本の線維のそれに近似している。したがって、中枢神経系ニュ-ロンは直交する際に、微細な凹凸が平行に密に繰り返して並ぶ物理的な構造を認識していることが示唆された。また、前年度に大脳皮質と嗅球ニュ-ロンが線維束の上で平行と直角の両方向に活発に移動することを見い出したが、これらのニュ-ロンはこの人工細胞外マトリックス上でも平行と直角方向に移動することがホフマン変調コントラスト光学系をつけたビデオ撮影装置で確認された。しかし、高倍率の連続撮影にもかかわらず、ニュ-ロンの成長円錐やその先端にある糸状仮足の接触挙動は平行と直交移動の際に顕著なちがいは見られなかった。走査型電顕による観察では、直交している神経突起の柄の部分からマトリックスの沿って微小突起が多数出ていた。これらの成果は神経科学学会(1991)ですでに発表され、国際発生神経科学学会(1992、仏)でも発表する予定であり、論文は投稿準備中である。
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