研究概要 |
生物にとって生殖活動は生きることと並んで一番大切なものである。哺乳類にとって子宮は、正常な生殖活動を行うために必要不可欠の重要な器官の一つである。子宮の成長・機能発現には、卵巣から分泌されるエストロジェンとプロジェステロンが主として関与していることはよく知られており、詳しく解析されている。最近では、これら卵巣由来のステロイドホルモンだけでなく、下垂体ホルモンであるプロラクチンや局所的に産生され作用するプロスタグランディン、各種の増殖因子なども子宮の活動に関与していることが判明してきた。しかし、上記のホルモン(生理活性物質)とステロイドホルモンの相互作用についての研究はまだまだ不明な点が多い。本研究は申請者により開発されたマウスの子官腺筋症発生モデルを用いて、子宮上皮と間質細胞を増殖させる活性物質を明らかにすることである。 まず、30日齢の雌マウスから子宮を切り出して、トリプシンにより細胞をバラバラにして,Ham's Fー12とDMEMを培養液として、イニスリン,トラニスフェリン,EGF,コレラトキジン,BSAを添加し細胞培養を行った。細胞の増殖は上記の系ではあまり起らないことが判明した。そこで正常マウスの子宮をホモゲナイズして、そのPBS抽出液を加えたところ細胞分裂が明らかに盛んになることが分った。子宮の中にはこの組織の増殖に必要な活性物質があることが明らかになったので,抽出液を電気泳動により分析している。さらに高プロラクチン血症を人為的に起し、子宮腺腺症を発生させた子宮からの抽出液を電気泳動法により分析して、正常の子宮から得た抽出液との組成の違い、あるいは前者を培養液中に添加した場合の違いなどを解析中である。現在のところ、2〜3のタンパク成分の違いが明らかになったので,この物質の同定を行っている。
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