研究概要 |
前年度に引き続いて物質の単離同定を試みた。牛胎児血清を凍結乾燥させてその蒸気部分を二重トラップで回収した。前年度報告した通り,液体窒素トラップで回収した部分はTENAXあるいはキャピラリ-カラムによるGC分離は可能であるが,少量のため回収はできない。そこでGCーMSによる構造解析を試みた。その際サンプルは無修飾のものおよびメチル化したものの両方について試めした。その結果,既知物質としてエタノ-ル、アセトン、アンモニア、シクロヘキサノ-ルが同定され、その他数種類の物質が認められたが未同定である。同定された4つの既知物質について細胞増殖に対する効果を調べたところ、低濃度では(〜10mM)いづれも促進も抑制も引き起さず、高濃度になると当然のことながら毒性を示した。従ってこれらの物質のいづれかヾ増殖因子の本体とは言い難い。しかしながら、血中にアセトン、アンモニアが存在することは従来よりよく知られていたが、飲酒によらないエタノ-ルやシクヘキサノ-ルが存在するという報告は見当らず、これらの生理的役割を検討することは意味があると思われる。現在本サンプルの様々な修飾を試みており、それによって液クロ系が使えないかどうかを検討している。更に未同定の物についてはGCーMSによる解析を繰り返し行っている。
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