1)ZnTe膜の成長 GaAs基板にZnSeをMBE成長させ、この上にZnTeを成長させた。フォトルミネッセンス(PL)の側定からZnTeの発光ピ-クはバルクの値と一致した。またZn空孔に関連した励起子発光強度の測定結果からZnとTeの蒸気圧比は2:1付近が適当であることがわかった。ラマン散乱のLOフォノン波数の測定結果からZnTe膜のフォノン波数はほぼバルク値と一致し、PLの結果と同様に格子不整合による歪の影響を受けていないことが確認された。一方、ZnSeのLOフォノン波数はバルク値よりもかなり大きく、見かけ上格子が相当圧縮されていると思われる。両者の結果から基板温度は340℃から360℃が適当であることがわかった。 2)エピタキシ-界面の歪 ZnSeとGaAsの界面付近の格子歪をラザフォ-ド後方散乱で測定したところ、Znse格子が変形しているばかりでなく、GaAsも平行方向にわずかに延びていることも確認された。しかし両者の歪の変化量は予想値とは異なり、界面付近には複雑な格子欠陥機構が存在することがわかった。 3)超格子の作製 ZnSeーZnTe超格子の膜厚を変化させた試料のPLの強度を測定した。積層膜厚が30A程度で良質の超格子構造ができること、またトンネル確率のモデル計算から、発光強度は軽いホ-ルに依存することが明らかになった。
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