1.ZnSe-ZnTe超薄膜超格子での青緑色発光 1周期中にZnSeが多くZnTeが少ない超格子で青色から緑色の発光が見られた。これは界面近傍におけるZnSe中のSe原子とZnTe中のTe原子が置換して等電子トラップが生じ、これに束縛された励起子が発光することが確かめられた。この時の青色と緑色のバンドはそれぞれ58meVと170meVの活性化エネルギーをもち、後者は特に200K付近まで視認出来た。ZnSeを数原子層およびZnTeを1原子層以下を1周期とした超薄膜超格子を作製し、界面での混晶効果から超格子性の出現による発光過程を明らかにし、配意座標で記述出来ることを示した。 2.2次元プラズモン素子による赤外発光の測定 ZnSe-ZnTe超格子の2次元電子ガスと質量差で生ずるL0フォノンの閉じ込めによる2次元フォノンとの相互作用で生ずる2次元プラズモン・フォノン結合スペクトルをラマン散乱法で測定し、その結合メカニズムを明らかにしようとしたが、ヘテロ・エピタキシー界面で生ずる歪が大きく、超格子による膜厚と積層比でも良質な界面を作製できなかった。このためヘテロ界面に生ずる2次元電子系をホットエレクトロン状態にし、その緩和過程から2次元プラズモンの励起を促し、これを金属格子を通した赤外発光として検出を試みることは出来なかった。 3.まとめ ZnSe-ZnTe超格子作製のための育成条件および界面での歪構造を明かにし、超格子の基本物性を説明した。以上の結果から、束縛励起子による室温青緑色発光素子の可能性を示した。しかしプラズモン・フォノン結合による赤外線の発生と検出は良質の界面制御が困難のため達成できなかった。今後の課題である。
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