研究概要 |
主に介護を必要とする高齢者や自宅療養者を使用対象者とした.介護接点を持つ車いすの設計試作を行った。昨年度の試作と強度試験の結果を基にフレ-ム断面寸法を30mm×30mmとし,キャスタ-の性能向上,手押しグリップの一体成形化,ブレ-キ位置の変更,フットレストの強度向上,ハンドリムの断面形状の最適化を計った。試作後、仙台市老人保建施設・茂庭台豊齢ホ-ムでOT2名の協力を得て、高齢者(片マヒ,痴呆,筋力低下他)7名による試乗テストを行った。障害の種類によって移乗動作,走行動作,作業動作,休息動作への要求内容が異なり,ア-ムレストは移乗の手がかりを与えること,フットレストは動作の邪魔にならない両開き機能を持つこと,背あて角度は92゚〜115゚まで選べること,車いす各構成部位が識別できる色彩計画が必要であること等が共通の要求内容であることを見い出した。金属部位との接合要素では、特にフレ-ムに穴をあけ車軸を差し込む手法は、成形部の接着ハガレを引き起こす可能性があり、他の接合要素設計が必要であると判明した。 生産条件としては、フレ-ムや座板の寸法を採寸デ-タから大・中・小のら種類を設定し、その組み合わせで身体寸法の要求に応える手法が適切であること,フレ-ムは極力成形容易な短寸法と単純な形状を持たせ、ノックダウン方式で組立可能とすること等が、地域で生産、組立、供給を可能とする生産条件であることを見い出した。 材料強度テストを昨年に続き行った。単板の両面に構造用水性ビニ-ルウレタン樹脂接着剤を塗布し成形加圧した。その結果、昨年度のデ-タより10〜15%の強度向上が見られた。接着剤の種類、塗布条件,成形条件等,強度を左右する因子は多いが、30mm×30mm断面寸法より小断面の寸法でも負荷応力の組み合わせを考慮すれば、十分に実用に値することが予測された。以上の結果から実用化への仕様はほぼ見い出された。
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