研究概要 |
萌芽的研究としてSTMーTribologyの研究が行われた.これは,STM(走査型トンネル顕微鏡)をトライボロジ-の基礎研究に導入することにより,これまで未開拓だったナノメ-タオ-ダのトライボロジ-の基礎を確立することを目的とするものである. トライボロジ-とは二物体間の接触に関する総合科学として位置づけられ、接触特における材料の変形挙動は,トライボロジ-の基礎として非常に興味深く重要な問題である. これに対し,昨年度接触面における微小変形量に対し興味深い結果を得た.そこで本年度は,さらに剛性を考慮し精度を向上させた装置への改良を行い,探針としてダイヤモンドを用い,これを直接試料表面に押し込む方法によりナノメ-タオ-ダの材料の変形挙動を明らかにする実験が行われた. 以下に,本研究で得られた興味深い知見を示す. 1.ナノメ-タオ-ダにおける塑性変形挙動 10nm以上の押し込み量と塑性変形量の間に比例関係が成立することが確認された.さらに26nm以上の塑性変形が生じる場合,押し込み圧子の形が転写されることが確認された.これらの結果は,ナノメ-タオ-ダにおける塑性変形挙動に対し一般的塑性力学の応用を考える事が可能であることを示唆するものであると考えられる. 2.ナノメ-タオ-ダにおける弾性変形挙動 装置の変位吸収量を除いた総押し込み量と塑性変形量の不一致が確認された.さらに総押し込み量が8.6nm以下の繰り返し押し込みに対し塑性変形量がゼロであることが確認された.これらの結果は,ナノメ-タオ-ダにおける弾性変形挙動に対し一般的弾性力学の応用を考える事が可能であることを示唆するものであると考えられる.
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