1.飽和超流動ヘリウム(HeII)における膜沸騰熱伝達 液温1.8〜2.1Kの飽和HeII中で水平円柱発熱体上の液頭を5cm〜30cm迄種々変えて膜沸騰極小温度から約300Kにいたる発熱体表面温度で膜沸騰熱伝達を求め、次の知見を得た(公表論文1、2)。 1)膜沸騰熱伝達係数は、液頭に強く依存し、液頭が大きいほど同一表面過熱度に対し大きな値を持つ。 2)この実験範囲では、膜沸騰熱伝達係数及び膜沸騰極小熱流束は、液温に殆ど依存しない。 2.サブク-ル超流動ヘリウム(HeII)における膜沸騰熱伝達 大気圧下、液温1.85〜2.15Kのサブク-ルHeII中で水平円柱発熱体における膜沸騰熱伝達を膜沸騰極小温度から約300Kにいたる発熱体表面温度に対して求め、次の知見を得た(公表論文3、4)。 1)膜沸騰極小熱流束及び膜沸騰熱伝達が飽和HeIIの場合に比してはるかに大きく、圧力上昇と共にゆるやかに増大する。 2)大気圧下では、極大熱流束点での温度ジャンプはなく連続的に膜沸騰に移行しヒステレシスが認められない。 3.膜沸騰熱伝達理論モデル 超流動ヘリウムにおける膜沸騰熱伝達の理論モデルを提示した(公表論文1)。 1)Labuntzoy等が報告している気液界面における非行衡凝縮効果と、GorterーMellink式に基礎をおくHeIIの熱除去を結合した膜沸騰熱伝達理論モデルを提示し、本研究代表者等の実験デ-タばかりでなく他の研究者による直径の大きな試験体のデ-タもよく記述出来ることを示した。
|