粒子群を含む分散系二相流では、多くの場合、球状の粒子を対象に行われている。しかし、実際の流動場では球状から少しずれた非球状の形状をした粒子がほとんどである。このような粒子では球状の場合に比べ不規則な反発などを生じ、より複雑な現象を呈している。このような流動場を解析するためには飛行中の粒子の形状とその速度を計測システムを開発する必要がある。本研究では差動型のレ-ザ流速系の光学系を用いて、粒子の局所的な曲率を検出する方法を検討する。その第一段階として、本年度は空間的に静止した粒子を対象にその散乱信号の特性を実験的に明らかにした。散乱光の干渉パタ-ンはCCDテレビカメラで直接撮影され、画像処理装置を用いてマイクロコンピュ-タに転送される。また、反射光に対して幾何光学近似を用いたシミュレ-ションを行い、その結果を球状粒子に参照パタ-ンとした。流速の検出は干渉パタ-ンの動きを一点で観測する事により行われる。これは現在用いられているレ-ザ流速系の基本原理と変わる事はない。さらに、空間的な干渉パタ-ンを測定すれば、フリンジの位置と位相の情報からシミュレ-ションより得られた参照パタ-ンと照合する事によって局所的な曲率を求める事ができる粒子の全領域の曲率を測定する事は不可能であるので、本研究では、粒子の形状を回転楕円体と仮定し、関数では近似する事で全体の形状を決定した。装置の検定のため球状粒子としてマイクロベアリングの500から1000μm粒子を用いた結果、得られた曲率半径は真球のものと良い一致を見た。さらにナイロンの非球状粒子を用いた結果、顕微鏡写真で評価した粒子形状に対し、ほぼ数パ-セントの精度で予測可能である事が検証できた。今後、実流動場に適用すべく改良を加える予定である。
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