研究概要 |
冬季の襲雷がきわめて多い石川高専周辺地域において,商用の高圧配電線系統に発生する雷サージの電圧・電流波形と雷撃放電特性諸量とを測定し,平成4年度(最終年度)として次のような成果を得た. 1.雷サージ波形の特徴を把握するために,昨年度に引き続き北陸電力・宇の気変電所において,接地型計器用変圧器と零相計器用変流器とを用いて,零相電圧・零相電流の波形をメモリハイコーダにより測定した.今年度は冬季雷といっても前線に伴うものが多く,短い襲雷期間に多数の雷襲があり,測定器の波形出力能力をはかるに超えてしまった.それ故,後述する雷撃放電特性との対応づけがきわめて困難な結果となっている. 2.高帯域の静電容量型電圧検出器を商用の配電線に設置したところ,降雨,降雪など気象条件が悪い場合,静電容量を形成する電極からコロナ放電が発生し,測定された電圧波形の信頼性が低いことが検証された.今後はこの点を改良していけば,上記1.の測定より精度の優れた雷サージ波形が得られるものと期待される. 3.雷撃放電特性の測定は,昨年度と同様に(1)直角2方向からのVTR観測,(2)多地点針端コロナ電流による地上電界分布図の作成,(3)電圧型雷サージメモリーによる落雷時の電界変化の測定,(4)雷鳴による雷撃放電路の再現観測を実施した.また,宝達山における冬季山岳地の雷観測では冬季雷の特徴的な電流波形を得るとともに,カメラ前面の着雪防止対策を施すことにより山岳地高建造物からの典型的な上向き雷撃放電路が得られた.これらは高い標高地を通過する基幹送電線の耐雷設計にとって有用な成果であると考えられる. 4.研究最終年度に当たり,3年間にわたる本研究の成果をまとめて報告書として印刷・製本し,ロケット誘雷実験グループや地元電力会社などの雷研究者に対して貴重な資料を提供した.
|