研究課題/領域番号 |
02805037
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
電子材料工学
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
奥田 昌宏 大阪府立大学, 工学部, 教授 (90081281)
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研究分担者 |
内藤 裕義 大阪府立大学, 工学部, 助教授 (90172254)
杉村 明彦 大阪産業大学, 工学部, 助教授 (90145813)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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キーワード | ネマティック液晶 / 光刺激伝搬 / 光情報処理 / 電荷輸送 / 不純物イオン / ニュ-ロコンピュ-ティング / 非線形ポッケルス効果 / パタ-ン認識 |
研究概要 |
(1)液晶異常過渡光電流の発生原因を明確にした。実験事実に基づき、異常電流の発生機構は、液晶の非線形効果に基づく光起電圧により説明されことを示した。ネマチック液晶は、通常巨視的な反転対称性を有する。このため、液晶は非線形性を示さない。しかし、電圧印加により液晶分子に歪が生じた場合(Freedericksz転移)、巨視的な反転対称性が崩れ、非線形性を示す。この結果、液晶層からの第二高周波の発生や光整流効果の発生が考えられ、光起電圧効果としての内部電圧の発生につながる。これが、液晶異常過渡光電流の発生機構である。実験的にも理論的にも、非線形光学効果により異常過渡光電流の発生機構を明確にすることができた。 (2)液晶バルク中でのイオン電荷の振舞いについて、以下のような研究成果を得た。閾値(Freedericksz転移電圧)以下の印加電圧の極性反転にともなう過渡電流ピ-クの発生と、その機構について実験的・理論的な検討を行なった。また、液晶セルへの一定の直流電圧印加状態から、セルを短絡状態にしたときの放電電流にもピ-クが生じることを実験的に確認した。通常、誘電体の放電電流は、一定の指数関数的な減少傾向を示す。ネマチック液晶に特有の、放電過程におけるピ-クの電流の発生は、液晶内部の不純物イオンの緩和過程をモンテカルロ・シミュレ-ションにより明確にした。 (3)液晶の異常過渡光電流が生体系における刺激伝搬電流と類似の特性を有する。すなわち、異常電流の発生機構を明確にしたことにより、本効果の人工神経回路網への応用について検討した。多数個の液晶素子をマトリックス状に配置することにより人工神経回路網を形成することが可能であることを示し、本方式により能動的なパタ-ン認識回路を形成できることを本研究成果の一つとして報告した。
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