本年度の研究では受信量子状態制御を採用した光ホモダイン受信システムを提案をおこなった。本提案システムでは従来のホモダイン受信機に加え、量子状態変換機(スクイザ-)と空間フィルタを前置する事により信号の量子状態制御の効果を受信側で得るものである。また、さらに本提案システムの理論解析をおこなう事により以下の結果が得られた。 1.提案受信量子状態システムの誤り率及びその最適条件を明らかにした。 2.提案受信量子状態制御システムは受信量子状態制御器の空間的配置、空間フィルタの透過率等に影響を受けることが明きらかとなった。 3.提案受信量子状態制御システムは従来の光コヒ-レント通信の限界特性である標準量子限界を量子状態制御により、克服するする事が可能である。 4.従来の標準量子限界と比較したとき、受信量子システムは受信平均光子数が大きいほどその改善の度合いが大きいことが明らかとなった。 以上、受信量子状態制御通信システムは送信信号に量子状態制御を施す量子状態制御通信に比べ、通信路の損失によることなく量子状態制御の効果を得る事を確認した。 また理論解析により、従来の光通信システムの伝送路に二光子吸収過程を用いた場合、従来の光通信システムの特性を改善できる可能性を明らかにした。
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