本年度の研究では量子状態制御通信における以下の有効な結果が得られた。 1.受信側量子状態制御通信においてその量子状態変換過程を記述するのに必要不可欠な条件付ユニタリー過程の概念的基礎を明らかにし、その例を減衰過程について示した。 2.受信側量子状態制御において要求される信号量子状態間の内積が減少する条件付ユニタリー過程の物理現象の例を明らかにした。 3.受信側量子状態制御を用いた通信方式の一例を実際の物理現象を例に挙げて示し、それが古典的通信方式における分解能の限界を表わす標準量子限界を越えることの可能性を明らかにした。 4.スクィズド光を計測や通信に用いるときに必要不可欠となる変調器について幾つかの物理例を挙げて示し、その変調時におけるスペクトル変換を明らかにした。さらに最適な変調条件を与えるための基準も示した。 以上、将来の量子状態制御通信実現に対する研究において貴重な結果を得た。
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