平成3年度は、特に、量子化された軟判定デ-タを用いたユニ-クワ-ド(UW)検出特性に関して、理論及び実験に基づき詳細な検討を加え、硬判定デ-タ及び量子化なしの軟判定デ-タを用いる場合の特性との定量的な比較を行った。理論的検討に関しては、理論の体系化を図るとともに、多様なパラメ-タに対する特性を取得した。一方、実験的検討に関しては、ハ-ドウェア(DSP;Digital Signal Processor)上にUW検出方式のアルゴリズム及びBox & Muller法に基づく白色雑音発生のアルゴリズムを構築することに全力を注ぎ、ハ-ドウェア構築後に、各種UW検出特性を取得した。 上記検討の結果明かとなった新たな知見は、以下の通りである。 (1)同等のUW不検出確率を基準にとった場合に得られるUW誤検出確率の優劣を評価した結果、低い不検出確率の基準に対しては、量子化が細かい程、高い不検出確率の基準に対しては、量子化が粗い程、UW検出特性が良好となることがわかった。即ち、設計目標に応じて、軟判定デ-タに対する量子化数を適宜設定することによって、良好なUW検出特性が達成できることが明らかとなった。この事実は、量子化された軟判定デ-タをUW検出に適用することによって、UW長が低減され、回線の利用効率が向上する可能性が存在すると換言することができる。 (2)軟判定デ-タを用いたUW検出方式が、DSPを用いたハ-ドウェアにより具現化できることが明らかとなった。更に、各種UW検出特性に関しては、理論値とほぼ等しい実験結果を得ることができ、理論計算ならびにUW検出アルゴリズムの正当性を確認することができた。
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