ウォ-タ-フロントなどに建設される様々な重要構造物は軟弱、あるいは不安定な水底に基礎を置き、しかも大きな静荷重、動荷重をうけることになる。従ってこれらの基礎として、砕石、砂利などで水底に構築された粒状構造などの内部で進行する変形過程を研究することは、これら構造物の耐震性を検討するため重要である。研究代表者らは、基礎・地盤系の三次元模型を粉砕したガラス粒子を積み上げて作製し、これを屈析率の等しい液体中に浸漬して透明にしたうえで、この模型の任意断面にレ-ザ-光シ-トを照射し、ガラス粒子の表面で発生する散乱光により内部の粒子の形状や動き、噛み合い具合などを可視化する手法を開発した。本年度はまず光学的に均質なガラスの造粒、CCDラインセンサ-を用いた高精細な画像入力など基本的な技術の構築を行なった。これまでに、1mm〜2mmまでの脈理、失透およびひびなどの極めて少ない清澄な細粒を得て、2048×2048×8bitの分解能で入力した画像に対するノイズの除去、輸郭抽出などの基本的処理のアルゴリズムを開発し、さらに粒度分布、間隙比、凹部も含んだ粒子形状に関わる統計的な指標の抽出などのシステムの構築を進めている。また堤体状に積み上げられた粒状体構造の破壊過程に関する基本的な検討を行ない、破砕し角張った粒子を積んだ構造模型の内部で、表層がある厚みをもって滑落すること、その厚み、および破壊時の加速度が周波数の増加とともに増えることなどを確認している。
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