屈折率の等しい液体にガラス粒子からなる粒状体構造模型を浸し、ここにレーザー光シートを透過させ、シート上のあらゆる粒子の形状と動きを可視化するレーザートモグラフィー(LAT:Laser-Aided Tomography)を開発し、その手法の拡張と、これを利用した解析を進めてきた。本年度はこの一連の研究の最終年度にあたり、(1)前年度に引き続き細粒に関する実験へのLATの拡張をさらに推し進めるとともに、(2)粗粒からなる水中粒状体構造の動的破壊を引き起こす加速度に周波数依存性が現れるという従来の乾性摩擦を想定したモデルでは解釈できない現象について、離散楕円要素法による数値シミュレーションで検討を加えた。(1)については模型内部に生ずる応力を散乱光弾性で検出しえること、そのためにはガラス粒子より光弾性感度の高いポリカーボネートやアクリルの粒子を用いると効果的なことなど技術上の改良が可能であることが示された。(2)については粗粒構造の破壊に、粒子間の摩擦と粒子の回転が定量的にどの程度の割合で寄与しているかが周波数依存性の大きな決定要因になること、その寄与率は粒子の形状と骨格構造によって支配され、加振波形の変化にはあまり左右されないことなどが示された。これらの研究成果は研究成果報告書に取りまとめられた。また年度後半で得られた最新の成果は平成5年6月に行なわれるヨーロッパ動力学会議などで発表される予定である。
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